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オーデマ ピゲ ロイヤル オーク クロノグラフを一週間使ってみる

オーデマ ピゲのファンのなかでも特にコレクターズ寄りに位置するのが、“ロイヤル オーク クロノグラフ(ROC)”だ。これはオフショアではない。オーデマ ピゲのラインナップでも最も人気のあるモデルのひとつで、ジェンタ時代のロイヤル オークのコンセプトとデザインを踏襲しつつ、クロノグラフのスタイルと複雑機構を加えたモデルだ。私個人、何度も買おうと思っていたのに、なぜかそうしなかった時計でもある。2012年にロイヤル オークもROCも39mmから41mmにサイズアップしたので、そろそろこの大きなケースサイズに慣れておきたいと思っていたところ、幸運にもオーデマ ピゲがローズゴールド無垢モデルを貸してくれたのだ。

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このモデルがゴールドであることはさておき、まずは製品群全体の話をしたいと思う。まずムーブメントについて話そう。


ムーブメントについて

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前述したとおり、オーデマ ピゲはCal.3120という優れた自動巻きムーブメントを作っている。このムーブメントは、オフショアでは他社製クロノグラフモジュールのベースとして採用されているが、この小さくて薄いロイヤル オークでは使用されていない。その理由はいくつかあるが、ひとつは既存ケースの厚みに収まらないことだ。ロイヤル オーク クロノは厚さ10mmだが、平均的なROOクロノグラフは14mmを超えている。2つめの理由は、ロイヤル オーク クロノで完璧に動作する素晴らしい代替ムーブが存在するためである。それは、フレデリック・ピゲによるCal.1185だ。このキャリバーは、非常にスムーズな作動、55時間のパワーリザーブ、驚異的な薄さ、そして垂直クラッチやコラムホイールなどのハイエンドな技術的特徴を備えた、現代の偉大なムーブメントの1つである。

 Cal.1185は非モジュール型のムーブメントであり、なかでも非常に優秀だが言うまでもなくオーデマ ピゲ製ではない。厳密にはブランパン製ムーブメントなのだが、スウォッチグループがF.ピゲ社を“マニュファクチュール・ブランパン”(ちなみにレマニアはブレゲ)としてリブランドしようと試みているにもかかわらず、誰もそうは呼ばない。とはいえ、F.ピゲ社のウェブサイトを閲覧すると、そのように掲げられている(掲載当時:現在はブランパンのWebサイトに統合されている)。しかし、このクロノグラフムーブメントは、数年前にF.ピゲを買収したスウォッチから供給されており、彼らによると、このムーブメントは少なくとも2つの重要な顧客、APとヴァシュロン・コンスタンタン(VCはオーヴァーシーズでこのムーブメントを採用している)への供給をためらうつもりはないとのことだ。スウォッチは、ブランパン専用にCal.1185の特別なバリエーションを用意している。例えば、この記事でご紹介したラトラパンテ・フライバックなどだ。

 この時計に自社製クロノグラフが搭載されていたらいいのにと思うか? もちろんだ。APのCal.3120とモジュールを組み合わせたオフショアの手法を採用して欲しかったか? 一瞬たりともそう思わない。ケースの形状は私にとって非常に重要であり、他の多くのロイヤル オーク愛好家にとっても重要だろう。F.ピゲのCal.1185は、この時計にぴったりのサイズと機能を備えた素晴らしいムーブメントだ。このような高価なクロノグラフは、“自社製ムーブメントでなければ絶対に買わない”というコメントが目に浮かぶが、これは確かに尊重すべき意見だ。 現在、ロレックス、タグ・ホイヤー、オメガ、そしてブライトリングなどには素晴らしい自社製クロノグラフが存在する。しかし、率直に言って、本当の意味でのハイエンドスポーツカテゴリーには、あまり競争相手がいない(前述のブランドは「ツールウォッチ」メーカーとして捉えるべきだろう)。

 ヴァシュロンは自社製自動巻きクロノグラフを持っていないし、ランゲも同様だ(もちろん、彼らはスポーツウォッチを作っているわけではないが)。 ジラール・ペルゴ シーホークは、自社製Cal.3300にデュボア・デプラ社製モジュールを載せたものでオフショアの構造と似ており、このモデルと競合するものではない。

 ロイヤル オーク クロノグラフはどちらかと言えばドレススポーツクロノグラフといった方がしっくりくる。そして、このカテゴリーの真のライバルは、自社製自動巻きムーブメントを搭載しているパテック フィリップ Ref.5980クロノグラフだけだ。いや、今の話は撤回しよう。ブランパンもブレゲと同様、スポーツクロノグラフに自社製自動巻きムーブメントを採用している。それらはこのAPに搭載されているものとまったく同じムーブメントだ。繰り返すが、この時計が自社製ムーブメントを使用していないことで読者諸君がパニックになる前に言っておくと、自社製ムーブメントを使用しているマニュファクチュールは1社しかなく、それはパテック フィリップで、しかももっと高額なのだ。詳しくは後述する。

 APのCal.2385(F.ピゲ社のCal.1185をそう呼ぶ)は、自社製ではないかもしれないが、それでも素晴らしいムーブメントだ。プッシャーの動きはとても美しく、垂直クラッチを採用しているため、スタート/ストップ時の遊びがほとんどない。このムーブメントは非常に高級感があるのだ。レマニア社製ムーブを採用したパテックのクロノグラフが、現在の自社製モデルよりもコレクターに好まれているのと同じように、AP(またはヴァシュロン)が自社製の自動巻きムーブメントを発表したときにも、同じようなことが起こるのではないかと私は考えている。パテックの自社製ムーブメントが優れていないというわけではないが、新ムーブメントの導入に伴いダイヤルやケースの変更が施されたが、これは誰もが好むものではなかった。現在のロイヤル オーク クロノグラフは素晴らしい時計だ。自社製自動巻きムーブメントの開発には賛成だし、それが実現すると確信しているが、現状では、Cal.1185がこのクロノグラフの動力源となっていることに完全に満足している。